親との距離が近すぎるのは問題?

心理士パパがやさしく解説する「近さ」と「自立」のバランス

 

「うちの子、いつもベタベタしているけど大丈夫?」
「親離れ・子離れができていない気がする」
「距離が近すぎると自立できない?」

こんな不安を抱くことはありませんか?

親子の距離が近いことは、安心感の表れでもあります。
しかし一方で、「近すぎるのでは?」と心配になる場面もありますよね。

この記事では、心理士としての臨床経験と父親としての実感の両方から、

親子の距離が近いことの意味
問題になるケースとならないケースの違い
ちょうどよい距離感の育て方

をやさしく整理していきます。

この記事でわかること

  • 距離が近いことの本当の意味
  • 問題になるケースの特徴
  • 健全な「近さ」とは何か
  • 距離を育てる関わり方

① 距離が近い=悪いことではない

まず大前提として、
親との距離が近いこと自体は問題ではありません。

むしろ幼少期においては、近さは安心の土台になります。

小さい子どもにとって親は「心の安全基地」です。
近くにいることで、探索や挑戦が可能になります。

安心があるからこそ、子どもは外の世界に向かえます。近さは自立の“土台”です。

距離の近さは、親に対する安心感の表れでもあります。そこで十分に安心感が得られることで、徐々に外の世界との接点を持てるようになります。

② 問題になる「近さ」とは?

では、どんな場合に注意が必要なのでしょうか。

距離が問題になるのは、「近いこと」そのものではなく、

離れることが極端にできない場合です。

例えば、

  • 年齢に対して極端に一人行動ができない
  • 親がいないと強いパニックになる
  • 親が子どもの不安を過度に先回りして防いでいる
  • 親自身が子どもに強く依存している

この場合、「安心」ではなく「不安の共有」になっている可能性があります。

近くにいないと不安でしょうがない状態です。しかし、近くにいてもその不安は解消されないというのが特徴です。

チェックポイント

  • 子どもが自分で決める経験があるか
  • 失敗する機会が奪われていないか
  • 親の不安が強く影響していないか

 

特に親の不安が強い場合には、子どもが安心するために親に近づきたいのに、『親の不安を低減するために子どもに近づく』、という逆の現象が起こっている場合があります。

この場合、子どもが不安を解消できる対象がいない状態になってしまいます。

『愛着』の視点から見ても、子どもの不安を通常の状態に戻すことで育まれるのが『愛着』のため、この場合『愛着』にも課題が残ります。

③ 健全な近さの特徴

健全な近さには、ある特徴があります。

健全な近さ

  • 甘えられる
  • でも必要なときは離れられる
  • 意見が違っても関係が壊れない
  • 挑戦を応援してもらえる

 

大切なのは、
「近い」ことよりも「いつでも戻れる」と子どもが感じていることです。

例えるなら、ゴムひものような関係。
伸びても切れない安心感があることが重要です。

最初は目で見て、肌で触れて安心感を得る段階から、徐々に心の中に親が住むようになり、目の前にいなくても安心感を抱けるようになっていきます。

近さの問題ではなく、「安心感を子どもが感じているかどうか」が本質です。

また、離れていても大丈夫だと思えるくらいに、繰り返し安心感を与えることが必要になります。なので、時間がかかるんです。

焦らなくても、大丈夫です。

④ 距離を育てる関わり方

距離は、急に広げるものではありません。
安心を土台に、少しずつ広がっていくものです。

距離を育てる関わり方

  • 小さな挑戦を応援する
  • 失敗しても責めない
  • 子どもの選択を尊重する
  • 戻ってきたときは受け止める

 

大切なのは、

「やってみる?」
「困ったらいつでも戻っておいで」

これらがそろうと、距離は自然に育ちます。

⑤ 親の心の距離も見直す

ときに、親の側の不安が距離を縮めすぎることがあります。

・心配が強すぎる
・先回りしすぎる
・失敗を許せない

この状態では、子どもは「一人でやる経験」を積みにくくなります。

『挑戦』することを過度に怖がってしまいます。

子どもを信じることは、放任ではありません。成長を見守る勇気です。

親にとっても、とても勇気のいることです。でも、子どもを信じる気持ちがパワーになります。信じてもらえた事で子どもの自己肯定感も育つのです。

親が安心して見守れるほど、子どもの自立は進みます。

⑥ まとめ:距離は“安心の上”に育つ

まとめポイント

  • 近さ自体は問題ではない
  • 離れられない状態が課題
  • 安心と挑戦のバランスが大切
  • 距離は急に広げない

親との距離が近いことは、必ずしも悪いことではありません。

大切なのは、
「近さ」よりも「安心感と自立のバランス」です。

安心がしっかり育てば、距離は自然に広がっていきます。

「困ったときにはいつでも安心感を与えてくれる。」と子どもが確信を持てれば、子どもの活動範囲は広がり、様々なことに挑戦できるようになります。

焦らず、少しずつ。
親子のちょうどよい距離を育てていきましょう。