【公認心理師監修】宿題をしない子どもへの対応について

宿題をしない子どもへの対応|怒る前に知っておきたい関わり方
① はじめに
何度言っても動かない。やっと始めたと思ったら、途中で遊び始めちゃう。こんなに怒りたくないのに。
気づけば毎日のように同じ言葉を言っていませんか。
親としては、「ちゃんとやる習慣をつけてほしい」と思うからこそ、
つい強く言いたくなるものです。
でも実は、「宿題をしない」の背景には、
子どもなりの理由や心の状態が隠れていることがあります。
この記事では、宿題をしない子どもへの関わり方について、
公認心理師の視点からわかりやすく解説します。
② 本文
■ なぜ子どもは宿題をしないのか
親から見ると、「やればすぐ終わるのに」と感じることがあります。
しかし、子ども側にはさまざまな理由があります。
- 疲れている
- やる気が出ない
- 難しくて自信がない
- 遊びたい気持ちが強い
- 何から始めればいいかわからない
特に小学生は、「やるべきことを自分で整理する力」がまだ発達途中です。
そのため、大人から見ると怠けているように見えても、
実際には“動き出せない”状態になっていることがあります。
これは、発達の段階として、気持ちを切り替える力がまだ育っていないためとも考えられます。
■ よくあるNG対応
宿題をしないと、親も焦ります。
その結果、次のような関わりになりやすくなります。
- 何度も怒る
- 長時間説教する
- 他の子と比べる
- 親がイライラしたまま関わる
しかし、こうした対応は、
子どもに「宿題=嫌な時間」という印象を強めやすくなります。
また、怒られ続けることで、
「どうせ自分はできない」という気持ちにつながることもあります。
その結果、自尊心や自己肯定感が下がる可能性が出てきてしまうのです。
親に言われてやる状態は、他者からコントロールしてもらっている状態です。
自発的な行動とは異なることを理解する必要があります。
もちろん、最初から自分で進んでやることは難しいため、親の声掛けが必要ないということではありません。
■ 宿題をしやすくする具体的な工夫
① 「まず5分だけ」にする
最初から「全部やりなさい」と言われると、
子どもは負担を大きく感じます。
そのため、
「まず1問だけ」
「5分だけやってみよう」
とハードルを下げることが効果的です。
人は、始めると続けやすくなる特徴があります。
最初の一歩を小さくすることがポイントです。
このような方法をスモールステップと言ったりします。
大きな目標:
『自分で宿題をできるようになる』に向かうために、
小さな目標:
『5分だけやる』、「5問だけやる」、「最初は親が隣に座ってやる」等
いきなり大きな目標を達成するのではなく、細分化して提示していくことが大切です。
そして、一番のコツは、最初は『すでにできていること』や『少し頑張ればできる』ような、失敗をしにくい目標にすることです。
② 宿題のタイミングを固定する
毎日バラバラの時間にやるよりも、
「帰宅後に少し休んだら宿題」
のように流れを決める方が習慣化しやすくなります。
特に低学年は、「自分で管理する力」がまだ弱いため、
環境づくりが重要になります。
毎日ばらばらの予定を過ごすよりも、決まっているルーティーンを作る方が習慣化するためには近道です。
③ 親は“監視役”になりすぎない
ずっと横について、
「まだ?」「ちゃんと書いて」
と言われ続けると、子どもも疲れてしまいます。
必要なのは、監視ではなく“見守り”です。
困ったときに助けてもらえる安心感があると、
子どもは少しずつ自分で進めやすくなります。
転ばぬ先の杖になるよりも、『失敗は成功のもと』という姿勢で見守ることが必要な時もあります。
④ 「結果」より「取り組み」を認める
全部できたかどうかだけではなく、
- 机に向かった
- 途中まで頑張った
- 自分から始めた
こうした“過程”に目を向けることが大切です。
こういった姿勢が見られた時には、すかさず褒めることが大切です。
子育ての方法としてペアレントトレーニングというものがありますが、その中に『25%ルール』というものがあります。
これはほめるときには、やってほしい行動の『25%』できた時点ですかさず褒めるということです。
小さな成功体験の積み重ねが、
「自分でもできる」という感覚につながっていきます。
逆に、良い行動に親が目を向けないと、その行動は減ってしまうといわれています。
■ 親としてのマインドセット
宿題を見る時間は、親にとってもストレスが大きいものです。
「ちゃんとやらせなきゃ」
「今のうちに習慣をつけなきゃ」
と思うほど、力が入りやすくなります。
でも、毎日完璧にできる子どもはいません。
大切なのは、“怒られながらやる習慣”ではなく、
“少しずつ自分で取り組める力”を育てることです。
そのためには、短期的な結果だけではなく、
長い目で見る視点も必要になります。
■ ストレスマネジメントの視点
宿題の時間にイライラが増えると、
親子ともに疲弊してしまいます。
そんなときは、「全部きちんとやらせる」よりも、
- 今日はここまでできた
- 少しでも取り組めた
- 大きなケンカにならなかった
といった“小さな前進”を見ることも大切です。
また、親自身が疲れている日は、
無理に完璧な対応をしようとしなくても大丈夫です。
子育ては、毎日の積み重ねです。
一日ですべてが決まるわけではありません。
③ まとめ
宿題をしない子どもの背景には、
「やる気」だけではないさまざまな理由があります。
だからこそ、
怒ることよりも、“やりやすくする工夫”が大切です。
小さな成功体験を積み重ねながら、
少しずつ「自分でやれる力」を育てていきましょう。
そして親自身も、
「ちゃんとやらせなきゃ」と抱え込みすぎないでくださいね。














